先日来、お客様から相続税対策についてのご相談を受けています。
もともとは、昨年事業用資産の売却をされていて、税法上は今年中に買い替え資産を取得する必要があるという事情があり、こちらも昨年改正されてしまった「特定の事業用資産買い替え特例」の影響で、土地だけでは買い替え資産の要件を満たさなくなり、アパートなどの建物を建てなければいけないことになってしまい、ご相談を受けていたところ、某日本再大手ハウスメーカーの営業が何故かタイミングよく現れ、アパート建築による相続税対策を提案していったことから始まった話でした。
某ハウスメーカーの提案書は実に都合よくつじつまが合っていて、もちろん27年度の相続税改正も反映した上で、このまま何もしない場合約3000万円の相続税がかかり、約6000万の借り入れをしてアパートを建築すると税額は一気に300万円強に圧縮できるという内容でした。しかも、提案書の表紙にはTKC所属の税理士の名前まで印刷されていたので、当然このお客様は税理士が作成した相続税計算だと思っていたようです。
それにしても、あまりにも高額な借金をしなければ実現できないような計画で、金額だけでお客様は不安を抱いていました。
この提案書の内容についての精査を依頼された私は、すぐにあることに気づきました。
税が増える要素である相続税改正は反映されているのに、緩和要素である「小規模宅地等の特例の限度面積の拡大」については、全く反映されていないのです。
この時点で、この税額計算書も評価書も税理士の監修を受けていないことが、確信できました。
詳しくは書きませんが、27年の相続税改正に伴い、自宅等については評価を大幅に安くしてくれるという特例が大幅に緩和されることも決定しました。
このため、この特例の緩和を計算反映すると相続税がかからなくなる方も多いんです。
詳細な計算はこれからですが、このお客様の場合最大3000万円程度の借入金を伴う事業用建物を建築すれば、恐らく相続税はかからないもしくはかかっても少ない負担で済むと思われます。
もしかしたら、この提案書を携えてお客様を訪問した営業くんは、こういう詳しいことは知らないかもしれません。社内で渡されたこの提案書がベストだと思い、純粋にお角様のためになると考え、自信を持ってこの確信犯的な提案書を提出しているのかもしれません。
そういう意味も含めて、〇キ〇ス〇ハウスさん、あなた罪深いよ~。