
特に藤の木なんかは、いかにも年季が入ってます。
でも、これらの木はすべて園芸店などで、比較的簡単に手に入るものです。
こんなこというとO 様に怒られるかもしれませんが、どれもそんなに特別な木ではありません。
新しく購入するより高いお金と手間をかけて、これらの木を移植したのには当然理由があります。
O様ご夫婦は現在二人暮らしです。
三十数年前にご結婚され、その後二人の息子さんが生まれ、高校まで現在のO様邸で育ち、大学を卒業して現在は二人とも清水を離れて暮らしているそうです。
移植された木々は、そんなO様ご家族の歴史を見てきた木です。同じ種類の木は手に入っても、同じ思い出を持つ木は絶対に手に入りません。
建て替えのお客様の中には、解体する古いお宅で使われていた材料を、加工して新築するお宅に取り付ける方などもいらっしゃいます。こちらも思いは同じです。
移植されたこの木々を見ていると、私達住宅業者は「家」というハードをお客様に提供するだけでなく、引き渡し後に生まれるたくさんの「思い出」も、お客様にお渡しするんだなぁと、強く感じました。
数十年後に家を解体するとき、「思い出」となるような何かが提供できる、そんな住宅屋に私達もならなくてはいけません。