寒い季節の陽の光は低い入射角で部屋中を暖めてくる、住環境にとってもっとも優れた暖房器具だということができます。しかし、真夏の時期の高く強い陽の光は、室内温度を上げすぎてしまうだけでなく、床などの建材にとってもいい影響を与えません。

「家は夏を旨とすべし」と、吉田兼好が「徒然草」に書いたとおり、日本の伝統的建築手法には、すぐれた日射遮蔽方法が数多くみられます。

日射遮蔽の手法として一般的なものは、庇や深い軒、反射ガラスや障子などですが、パッシブ・デザインによる家造りにおいて重要なことは、これらを複合的に組み合わせることです。
それにはまず、建築地において夏の一番暑い時期に、どの方向からどれくらいの角度で、太陽光が差し込んでくるのかを知ることが必要です。「建築地固有の一番暑い太陽」を知り、最適な方角に最適の遮蔽物(庇など)を配し、さらに断熱性能の高いLow-Eガラスに、外付けブラインドなどを設置して、日射の進入を防ぐことが重要です。

しかしながら、真昼間に写真のように、ブラインドを閉めっぱなしというような状態に、抵抗を感じる方も少なくないはずです。
そんな自然志向の方は、落葉樹を南窓近くに植えたり、今年の夏ブームにもなった「緑のカーテン」やすだれなどで、日射遮蔽することもひとつの手段です。
ここまで、「断熱・気密」「日射取得」「日射遮蔽」について書いてきました。
次回は個人的には一番面白いと思っている、「通風」についてです。お楽しみに!